早稲田祭2015 裸婦餓鬼『回転』
こんにちは。裸婦餓鬼「回転」班編集長の荒木です。
今回私たちは、「回転」をテーマとした作品集を販売させていただきます。さて、皆さんは回転と聞いて何を思い浮かべるでしょうか? 車輪の回転や、風車の回転、映写機の回転……列挙するとキリが無いかと思います。ちょっと目を向けてみれば、私たちの生活はたくさんの回転に覆われているということに気がつくはずです。
しかし、そうした運動はただ世界に刻み込まれているだけではありません。そこには多様な意味が包摂されています。例えば異世界の中のループ構造のように、脱出不可能な閉塞性をそこに見出だすことができます。さらに、例えば盆踊りのように、回転運動を通した一種の儀礼、すなわちカタルシスを伴った救済的な要素をそこに見出だすこともできます。十人いれば十通りの、「回転」が見出だされることになるのです。
また、回転と文学の持つ運動性は、互いに対立しているように捉えることもできます。なぜなら私たちが読む/書くときの流れには一方向性が備わっているからです。
一見すると回帰不可能性を孕む文学の中に、如何にして"回転"をもたらすか。そこに逆接的な面白さがあるように感じます。
現実の回転を具現化するも良し、抽象化された回転を表現するも良し――。私たちは文学を通じて、世界を自在に「回転」させることが可能となるのです。班員それぞれが思い思いに描いた、「回転」する世界を、是非堪能して欲しいと思います。